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短編小説「東京駅で会いましょう」

  • 執筆者の写真: スマイル・エンジェル
    スマイル・エンジェル
  • 2020年5月3日
  • 読了時間: 27分

更新日:2020年5月5日

~あらすじ~

東京駅で出会った若いカップル、東京駅で再会する老人カップル、東京駅で働き再会した同級生カップル。3組の世代が違うカップルの恋模様を描きます。

付き合い始めて半年経った彼女の美鈴から、2週間前にラインが来た。

美鈴が「東京駅で逢いましょう」という、その日は、俺の、25回目の誕生日。美鈴が、俺の誕生日を祝ってくれるという。

平日だから、待ち合わせは、美鈴の仕事が終わった午後6時。

前から予定していた実家の帰省を早めに切り上げて、午後5時過ぎに東京駅に到着する予定の新幹線のこだまに新大阪から乗った。

俺は、窓際の席に座って、流れていく景色を眺めていた。

新大阪から発車して一時間を過ぎた頃、新幹線が名古屋駅に到着した時、その女性が乗ってきた。

60過ぎくらいの女性は、白髪混じりの髪をきれいにアップして、白地に藍色の植物の大柄で鮮やかなプリントのロングのワンピース姿で大きなスーツケースを押して入ってきた。

ゴールデンウィークが過ぎた週末を控えた平日だけど、客席は、全席埋まっていた。

その女性は、手持ちのチケットを見ながら俺の隣を探し当てた。

女性がとても、甘いいい匂いがしたのと満面の笑みで初対面の俺に「アロハ~」と言ったのに、俺は、少し面食らった。

電車が発車して少ししてから、女性が俺に「東京まで行かれるんですか」

と聞いてきた。

「はい」と返事をすると、

「東京駅も随分と変わってしまって。迷ってしまいますね。私も、東京駅で

降りますけど、今日は、友人がホームまで迎えに来てくれるんですよ」

その友人と言ったときの女性のはにかんだ様子が、何か秘密の出会いを臭わせたが俺は、さらりと流した。

別に、それ以上は、話すつもりはなかったけど、女性は、それから、ゆっくりとした口調で自分の身の上話しをしはじめた。

ミツコと名乗る女性は、横浜で生まれて育ち、東京の女子大を出たあと、数年間東京駅の近くの会社で働いた。

その時にある男性と知り合ったそうだ。

ミツコさんは、週に数回は、皇居の御苑にお昼休みに自分で作ったお弁当を持って食べていた。

そうしているうちに、何度も、一緒になる男性がいる事に気が付く。その男性も、いつも手作りのお弁当を持ってきていた。

ある時、男性がミツコさんに声をかけてきた。

「よくお会いしますね。お近くで働いているんですか?」

話すとお互いが隣同士のビルで働いている事がわかった。その男性は、ミツコさんより5歳年上で、お弁当は妻が作ってくれている物とわかった。

それからも、よく、御苑でその男性とお弁当を一緒に食べるようになる。

話しているとお互い好きな小説や映画や絵画など趣味趣向がとても合って、30分ほどの短いランチがとても楽しいひと時となったそうだ。

それから、数回、仕事の後、一緒にお茶を飲んだが、それも、男性が地方に転勤となり、その交流も終わった。

それからミツコさんは、親のすすめられた男性とお見合いして結婚し、子育てがひと段落した頃から、趣味で始めたフラダンスにはまり、数年間、本場のハワイにも住み、今では、自宅のある名古屋でフラダンスのスクールを主宰しているという。今日は、月に一回のカルチャースクールでのレッスンで講師として出向くのだという。

「でもね。今日は、もう一つ特別な用事があるの」

ミツコさんは、とても嬉しそうに「あの、皇居の御苑で一緒にお弁当を食べた方と40年ぶりに東京駅で逢うのよ」

「40年ぶりにですか?」

「そう。それがね。お互い連絡先なんか交換してないから、ずっと連絡も取ってなかったし、どこでどうしているか知らなかったんですけどね。その方のお嬢さんが、私の東京の生徒さんでね、一度、東京で開催したイベントに来てくれたそうなの。その時に私を見て、その後、もしかして、ってお手紙を頂いてね」

「じゃあ、ミツコさんは、40年間、変わってないってことですか?」

「いやね。そんなはずはないでしょうけどね。でも、そう、言われたわ。その時にお声をかけてくだされば良かったのでしょうけど、その時は、奥様もご一緒だったから、言い出せなかったそうよ」

「お二人は、その……」

「あら、何もありませんよ。本当に、気の合うというか、一緒に居て心地いい方でしたけど、もう、あちらは、ご結婚されていましたしね」

「でも、ミツコさんは……その男性を思っていたんでは」と俺は、ミツコさんの男性を語る様子から、感じた事を正直に言うと。

「そうね……。出会ったのが、遅かったのね。残念だけど」

「そうでしたか……」

最初、俺は、これから、美鈴と会うのに、ひと眠りしようと思っていたのに、途切れる事のないミツコさんの身の上話に、引き込まれしまった。

「あら、ごめんなさいね。わたしばかり話しちゃって。あなたは、何をされているの?」

「大学院で研究しています。まだ、学生です」

「あら~凄いじゃないですか。研究って、何を?」

俺は、大学院で心理学を専攻している事を話した。

「まぁ、素敵。心のお勉強をなさっているのね」

ミツコさんから聞いた話から、俺も、自然と美鈴との出会いを話しはじめた。

美鈴と出会ったのは、半年前だった。

「赤と白のシマシマに惹かれますよね」

ライトアップされた東京駅のレンガ駅舎の写真をスマホで撮っていると、突然、後ろから声をかけられた。

俺が、振り返ると、若い女性がスマホを片手に笑顔で「今日、これで、4回目ですね」と言う。

俺は、彼女が言っている意味がわからずにいると、

彼女が、指を順番に立てながら「お昼、皇居で、赤飯の麻婆豆腐弁当を食べていましたよね。その後、大手町の平将門の首塚で、そして、さっき、ステーションギャラリーで、そして、ここで。ねぇ。4回目でしょ」

今日の俺の行動を言い当てられて困惑していると、

「別に私、あなたを尾行していたわけじゃなですよ。私、職場がすぐ近くで、たまたま、偶然に出会ったというか」

最後の方は、少し困惑気味な彼女に、やっと少し、状況が飲み込めた俺は、

「そうなんですね。いや~そんな、偶然、あるんですね」

「私も、なんか、こんな一日で、同じ人と偶然に4回も逢うなんってね。初めてです」

彼女は、鎌田美鈴といい、東京駅のすぐ近くの会社に勤めるOLだと教えてくれた。

俺は、大阪から、大学の進学で、茨城県の公立大学に進学した。

東京駅周辺は、実家に帰省する時に通過する程度で、改めて、散策した事が無かった。

東京駅のギャラリーで好きな作家の回顧展を開催しているのを知り、ゆっくりと散策する事にした。

その日、お昼少し前に東京駅に到着して、事前にSNSのツイッターやブログで東京駅周辺の情報を収集した俺は、東京駅から歩いて竹橋方面に向かった。

新聞社が入っているビルの地下にある、安くて美味いと評判の中華料理店で販売している麻婆豆腐弁当を買って、それを持って、二重橋を渡り、皇居の御苑に入った。

平日とあって、広くよく整備された園内は、外国人の団体の観光客が数組いたが、閑散としていた。

入口でもらった、園内のパンフを見ながら園内を30分ほどぐるりと回り、ベンチでお弁当を食べた。タマゴの入った濃厚なスープと辛めで本格な麻婆豆腐が美味かった。これで650円は、かなり満足できる。

御苑を出て、少し歩くと、都市伝説の一つの平将門の首塚まで歩く。

平安時代中期の武将の平の将門は乱を起こすが失敗し、京都で処刑される。その首は数日さらしものにされた後、空高く飛びさり、途中で力つき地上に落下したとされる、数か所あるうちの一つがここの大手町にある。

平の将門の首塚は、高層のオフィスビルが林立する中で、この一角だけはうっそうとした木が茂った、あきらかに異空間だった。

噂によると、この周りのオフィスは、ここに尻を向けないレイアウトにしているという。万が一尻を向けたら、左遷や場合によっては、首が飛ぶとされている。過去にも、この場所を撤去しようとして、数々の不審な事件や事故が起きているそうだ。

俺は、興味半分で、その首塚に入ってみると、昼間だけど、どんよりとした重い空気が立ち込めていた。

平の将門を祀った墓石の周りには、必ず帰る(かえる)にひっかけ、ガマカエルの置物が沢山置かれている。俺は、霊感などはないが、なんとなく気分が悪く早々にそこから立ち去った。

そこから、東京駅に向かうと沢山の洗練されたオフィスや商業施設が立ち並び、さすが東京の中心地だ。

東京駅が一望できるオープンカフェでコーヒーを飲み、改めて東京駅を見る。100年も前に建てられて、国の重要文化財に指定された建物とあってその風格は日本が世界に誇れる文化遺産だ。

このレンガ作りは、100年前の明治時代ではかなりモダンだったようだ。東京駅の建物は、部分的に切石を用いた重厚なレンガ造建築として計画されて、駅構内のディテールはヨーロッパの大駅の例にならってはいるものの、車寄せ・屋根・棟・切妻などに見られるように、日本の伝統的な城郭と寺院建築の諸要素が引用されている。この背景には、設計したドイツ人の日本建築への思いが反映されているそうだ。このドイツ人は、日本に来日した際に日本建築の研究に取り組み、帰国後には日本建築に関する著作を著しているほどだ。

彼は当時の多くの日本人が、西欧の新しい文化のみにのみ感心を抱いて自国の文化をおざなりにする事に警告をして、あえて、日本の伝統の建築技術を取り入れたデザインとした。

その後、明治国家の建築権威を象徴する建築を数多く手がけた辰野金吾氏によってかつてなかったほどの巨大建築の駅舎となった。

辰野は、レンガだけでは強度が足りないと、レンガの間にがっちりと3100トンもの鉄骨を使用して強固な骨組みを作った。この安心設計のお蔭で、あの関東大震災でも崩れることなく頑丈に持ちこたえた。

しかし、1945年の東京大空襲で駅舎の一部が焼け落ちた。その後も数年前に大規模な修復、復元をして、見事に明治時代の良き面影のまま荘厳な駅舎が蘇った。

改めてこうして東京駅を俯瞰してみると、その圧倒的な存在感に畏敬の念を抱く。

 そして、初めて、東京駅舎の中にあるギャラリーに入った。

一気に3階まであがりそこから、階段で降りながら2階にある展示スペースの企画展示を鑑賞する。

企画展示は、この東京駅がある千代田区が、出版・印刷業がひしめく全国有数の街で、そこにある有名な出版社から出版された作家の画集や貴重な直筆原稿や挿絵を展示するものだった。

俺は、以前からこの作家のファンだったから、じっくりと時間をかけて鑑賞した。

そして、このギャラリーの大きな魅力である、3階から降りる八角形の廻階段のレンガに魅せられる。

創建時のままのレンガの壁面はこの建物が100年の歴史を今そのままに残しているのを感じられる。

空襲で焼けた時に炭化したという木のレンガや、時を経て漆喰されたレンガがそのまま残されている。

また、2階部分からは、東京駅北口の内側を歩く通路があり、下から見るのとはまた、一味違うドーム建築の美を楽しむ事ができる。

好きな作家の展示も堪能し、ミュージアムショップで、ここでしか買えないという限定のお土産品を買い、しばらく回廊から、改札口を行き来する人を眺めていたら、閉館の時間となった。

 外に出ると辺りはすっかり暗くなり、美しくライトアップされた駅舎が、また、一層荘厳にそびえ立つ。

そして、その駅舎をスマホで写真を撮っていたら、美鈴から声をかけられた。

美鈴が言うようにレンガの赤とそれをつなぐ目地がシマシマ模様に見える。それが、ライトアップで更に幻想的だ。

「あの良かったら、これから少し、飲みませんか?」

自然な美鈴の誘いに、俺は、困惑した。

今まで、若い女性に、いや、女性にこんな風に誘われた事など無かった。

自分でも言うのもだが、俺は、見た目、イケメンでもないし、これと言って人目を引くタイプではない。

過去に付き合った女性からは、一緒にいて落ち着く、癒し系でかつ草食系だそうだ。

かけているメガネも、真面目な印象だとも。

「あ、ごめんなさいね。突然、出会ってばかりで、びっくりですよね。4回も偶然に出会ったから、勝手にこのまま一期一会だと寂しいなって思って」

本当に、嫌みのない素直な美鈴の誘いに、俺も、腹を決めた。

こんな風に女性から誘われる事は、一生に一度あるかないかだ。

俺も笑顔で「いいですよ。別に帰るだけなんで」と誘いに乗った。

「嬉しい!じゃあ、行きましょう」

そして、美鈴が近くの居酒屋に連れて行ってくれた。

俺も、美鈴もお互いお酒はあまり強くないが、値段が安く肴が美味しく庶民的で居心地のいい店内で、終電近くまでいた。

店の明るい中で美鈴を改めて見るとあごのラインでカットされた髪を耳にかけて、少し、たれ目気味な目元だけど、優しい印象のなかなかの美人だ。

顎に小さなほくろがあり少し、色っぽい。

小ぶりのダイヤのピアスが光っている。

そして、お互い自己紹介すると、美鈴が俺よりも以外にも、5歳年上である事が分かった。同じ歳か、少し下かと思ったからだ。

美鈴は、俺の名前の俊雄から俊君と呼ぶようになり、その美鈴の気さくさに出会ったばかりのなのに、すっかり魅せられた。

「お昼のお弁当を買った、あの赤坂飯店はね、担々麺がすっごく美味しいのね。最初食べたら、もう~、背中が痛くなるほど辛いって思うんだけど、これが、病みつきになるのよ」

「俺、結構、辛いの平気なんで」

「そう、じゃあ、今度、食べに行こう。もう本当に辛いからね。覚悟してね」

それから、美鈴が、平の将門の首塚の話をしてくれた。

「前に、セクハラとパワハラのすっごく嫌なオヤジの上司がいたのね。

だから、10日間、毎日お供え物を持ってお参りに行ったのね。あの上司がいなくなりますようにって。そしたら、本当に首になったの。会社のお金を横領したのがばれてね」

「へ~。やっぱり、怨念伝説は、本当なんだ」

「まぁ、悪い事してたから、当然と言えばそうなんだけどね」

「でも、それをお願いする美鈴さんも、結構怖いですね」

「そうよ。私を苦しめる奴は、許さないもの」

「わ~、怖ぇ~」

それから、俺達は、連絡先を交換して、付き合うようになった。

俺が、美鈴との出会いをミツコさんに話した所で、三島まで到着した。

東京駅まであと1時間だ

その時、美鈴からお昼休みに撮影したという東京駅の写真と、

「もうすぐ俊君に逢えるね!すっごく楽しみにしています」とメッセージが届いた。

俺は、これから、大好きな美鈴に逢える高揚感を味わいながらも、ずっと心に引っかかっていたモヤモヤを隣に座っているミツコさんに打ち明けてみようと思った。

「今日は、俺の誕生日なんです」

「あら、そうなの。それは、おめでとう。いくつになるの?」

「25歳です」

「そう、いい時ね」

「実は、これから、東京駅で彼女と待ち合わせをしているんです」

「あら、素敵ね。彼女とお誕生日を一緒に過ごすのね」

「そうなんです。こんな事、言うの、おかしいんですけど……」

それは、一ヵ月前に東京駅でデートした時だった。

美鈴のお気に入りの東京駅のステーションホテルの中にある老舗和菓子屋でお茶をしている時だった。

「私ね、このホテルで誕生したんだ」

「えっ?」

「父がね、大の電車好きでね。特にこの東京駅が大好きで。結婚式をこのホテルで挙げてね。その晩、ホテルのスイートで初夜を迎えて、その時、見事に誕生したのが、私なの」

「ほ~、そう、なんだ」

「子供にそんな話をする両親も、どうかと思うけどね。その後、弟と妹が誕生するけど、それは、自宅だったそうだから、なんか、両親にしては、このホテルが特別な場所みたいで」

「そっか~」

「だから、私も、いつか、好きな人と結ばれる時は、このホテルがいいな~って思っていたの」

俺は、美鈴の話になんて答えていいか、困った。

付き合い始めて俺達は、キスまではしたけど、それ以上は、まだだった。

「正直に言うけど、私も、今まで、何人かお付き合いしたよ」

「……」

「でもね……なんかさ、俊君はさ、違うの。……だってさ、出会いが運命を感じるじゃない」

「そう……だね」

「来月の俊君のお誕生日、このホテルに泊まらない」

ストレートな美鈴の誘いに俺は、正直、戸惑った。

勿論、俺も、男として美鈴とそうなりたいと思っている。

しかし、美鈴は、自分の年齢を考えた時にその先に結婚を意識しているのだろうか。

俺は、まだ、大学院で勉強して、これから就職する立場だ。結婚は、更に先になる。

それに俺は、自分が結婚して家庭を持つと事には抵抗がある。

ミツコさんは、じっと、静かに心地よい微笑みを絶やさず、俺の言葉を待ってくれる。

「これは、今まで、だれか他人に話した事がないんですけど……」

そう前置きしてゆっくりと、息を吐くように、話を続けた。

俺は、大阪の市内に住み二つ歳の上の兄と両親の4人家族だった。

小学校に上がる時に父が、家を出て行った。後に、父が別の女性と暮らし始めた事を知った。

その後、母は、自分の実家のある、郊外に引っ越して、俺達は、祖父母と一緒に暮らすようになった。母も、数年は、一生懸命働いて俺達兄妹を養ってくれた。

しかし、俺が、小学校5年生になった、夏休みの少し前頃から、母が少しづつ家を空けるようになる。

最初は、祖母達は、母が、東京まで、仕事に行っていると説明した。

夏休みになった頃、母は、帰って来なくなった。

兄は、中学生で野球の部活に忙しく、一人取り残された俺は、夏休みなのに一人で寂しく過ごす事が多かった。

今から思えば、残された二人の孫を養うのに祖父は、仕事を掛け持ちして働いていた。

だから、年老いた祖母が無理して、俺を海水浴や遊園地に連れて行ってくれたけど、ちっとも楽しくなかった。

ある時、祖母と二人で行った遊園地から、俺は、勝手に一人で自宅に戻った。

俺が一人で帰ったとは思わない祖母は、半狂乱で警察まで巻き込み俺を捜索した。

そんな騒ぎになっているとは、全く考えていない俺は、自宅に仕事から戻ってきた祖父に問いただされて、初めて、祖母とはぐれて一人で帰った事の重大さを知った。警察からの連絡で、俺が無事に自宅に帰っている事を知った祖母は遅くに自宅に戻ってきた。

その翌日も、祖母は、何もなかったように、いつも通リに振る舞った。

自分の娘が、二人の子供を置き去りにして、蒸発した事の負い目からか、特に俺には、祖父母は、とても、甘かったと思う。

中学に入ってからも、親がいない寂しさから、少し荒れた時期もあったけど、

そんな俺を救ってくれたのは、小説だった。

物語に没頭することで、現実の切なさを忘れる事ができた。

そうしているうちに、何故、両親は、俺達を置いて出て行ったのだろうかと真剣に考えるようになり、やがて、それが、人の心理や内面に潜む感情にすごく興味を持つようになった。

それが、俺が、心理学を専攻するきっかけとなった。

心理学を学ぶ事で、自分自身の心のモヤモヤの原因が究明できるのではないだろうかとの希望があった。

ここまで、途切れ途切れだけど、俺は、自分が育ってきた環境をミツコさんに話した。

聞き終えたミツコさんは「それで、お母さまとは会ったの?」

「はい。母が家を出てから、半年置きくらいに母が、帰ってきました。一晩泊まるとその翌日には、また、帰って来なくなるので、もう、自分でも、あきらめました」

「そうだったの……それは、寂しかったわね」

「それから、母も、違う男性と、籍入れてませんが、住んでいる事がわかりました。なんか、すいません。こんな話をしてしまって」

「ううん。いいのよ。ずっと、一人で寂しさを抱えて生きてきたのね」

「今、俺の回りには、こおゆう環境で育った友達はいないんですよね。なんか、自分が欠けているっているっていうか、不運な家庭に育ったっていうコンプレックスがあるんですよね」

「そうなの~?私の回りも、片親やまた、そうやって、お孫さんを育てている方、いるわよ」

「でも、こんな俺が、まともな結婚して、ちゃんと幸せな家庭を築けるのかって、不安なんです」

「だからこそ、温かくて素敵な家庭を築けるんじゃないのかしら?あなたは、その年上の彼女との未来に不安を抱いているのでしょうけど、きっと、彼女は、あなたのその心の闇というか、もしも、あなたがご自分で欠けていると感じている部分を、埋めてくれる存在なんじゃないのかしら」

「そうですかね……」

「そうだと思うわよ。だって、私も、その彼女との出会い方に運命を感じるわ。素直に彼女とお付き合いを進めたらいいんじゃないかしらね」

「……なんか、自信がないんです。自分に。自分も両親みたいな人生を歩むんじゃないかって……」

ミツコさんは、俺の目をじっと見つめて、

「絶対にそんな事ないわ。あなたは、人一倍悲しく寂しい思いを味わってきたんだもの。誰よりも、家族を大切にする最高にいい父親になるわよ」

「そう、ですかね……」

「そうよ。将来は、どうするの?どんなお仕事をするつもりなのかしら?」

「家庭裁判所調査官という仕事につこうかと思います」

「あら、どんなお仕事かしら」

「家庭裁判所で離婚問題や少年犯罪などの、その背景の状況を調査して、判決をする時の判定の準備をする仕事なんです。離婚問題は、子供の親権争いや家庭内の複雑な問題が絡み合います。そこで、両親の都合で傷つけられるのは、子供たちなので。また、少年犯罪を犯す子供達も、複雑な家庭環境が背景にありますので。

そおゆう不遇な家庭環境にある子供達に、寄り添って少しでも、彼らが希望を持ち未来に生きていける一助になれればと思います」

「素敵なお仕事ね。そう、“宿命を使命に“って、私の好きな言葉なんだけどね。あなたの、その、ご自分の不遇だと思う環境を決してマイナスにしないで、それをバネに同じような環境に育った人達を助けたいと思っているんでしょう。それ自体がもう、あなたは、ご自分の不遇な家庭環境を乗り越えているわ。宿命を使命に変えているじゃない」

「そう、なんでしょうか」

「そうよ。だから、大丈夫。あなたは、立派な、素敵な理想の家庭を築けるわ。

まだ、先になるでしょうけど、運命の彼女と素敵な家庭を築けるわよ」

ミツコさんの本当に温かい眼差しと、真心のこもった励ましの言葉が、俺の心に染み渡る。

宿命を使命に、いい言葉だ。

今日、美鈴にも、俺の生い立ちを話そう、そう決心した。

そうして、東京駅に新幹線が到着した。

俺は、このミツコさんとの2時間ほどの一期一会の出逢いに心から感謝した。

一緒にホームに降り立つと、初老の紳士がにこやかに立っていた。

嬉しそうにミツコさんが、その紳士に近づき挨拶を交わしている。

ミツコさんが、俺に振り向き、軽くウィンクする。

ミツコさんが話してくれた40年ぶりに再会した御苑で一緒にお弁当を食べた彼だ。

俺も、ミツコさんに軽く会釈をして改札へと向かった。

そして、俺は、美鈴との待ち合わせまでの時間を夕日に照らさた、東京駅舎の前に立ち、赤と白のシマシマのレンガを眺めた。

盛岡からお昼に出発する新幹線は、コールデンウィーク開けの週末を明日に控えてか、満席状態だった。

私が指定された席に座ると反対側から初老の紳士がチケットを持って、入ってきて、隣の席に座った。

東京駅まで、2時間と少し。約束の時間には予定では1時間は早く着く計算だ。

私は、持って来た、読みかけの本をカバンから出して、メガネを探す。

最近、老眼か本を読むのにメガネが必要になった。

と言ってもまだ、45歳。老眼とは認めたくなかったけど、老眼鏡デビューをした。

しかし、入れたはずのメガネがカバンの中に見当たらない。

私は、堪忍して、窓の外の景色を眺めていた。

隣に座った紳士が、にこやかに、

「東京まで行かれるんですか」と尋ねてきた。

3年前に亡くなった父と同じくらいの歳か、にこやかな笑顔に私の少し、張り詰めていた気持ちがほぐれる。

「はい。そうです」

「東京駅も随分と変わりましたよね。娘とね前に駅で待ち合わせをしたら、迷って大変でした。結局、1時間もウロウロしてやっと会えたんですよ」

「そうですか。お嬢さんが東京にいらっしゃるんですか?」

「ええ、3人の娘の一番末っ子がね、東京に住んでいましてね」

「じゃ、今日は、そのお嬢さんにお逢いになるんですか」

「最終的には、そう、なんですけどね。でも、その前にちょっとね」

その紳士の含みのある言い方になにか理由がありそうだった。

吉田と自己紹介した紳士は、懐かしそうに、これは40年も前の話なんですけどねと前置きをして話し始めた。

吉田は、福島から東京の大学に進学して、そのまま、全国に営業所のある東京の丸の内に本社がある会社に就職した。そこで、結婚して二人目の子供が生まれた頃だった。

お昼休みは、大抵、奥様お手製のお弁当を持ち、皇居の御苑で食べていた。

ここは、静かで、人気もなく、神経を張り詰めた仕事から解放されるやすらぎのひと時だった。

また、ここに通っているうちに、よく一緒になる若い女性がいるのも、気になった。

彼女も手作りのお弁当を持ち、近くのベンチで一人で食べていた。

女性が一人で食べているのも珍しく、また、何よりも、その彼女が実に美味しそうに、食べる姿がとても微笑ましく、見ていて、こちらまで、楽しい気持ちにさせられたそうだ。

私は、吉田に「その彼女に声をかけたんですか」と思わず、突っ込んだ。

「はい。思い切って、彼女に話しかけました。私は、いつも一緒になるなと意識してましたが、彼女は、私の事は、全く視界に入っていなかったようでした。

お名前をミツコさんと教えてくだり、お互い隣同士のビルで働いている事がわかりました」

「ミツコさんですか」

「ミツコさんは、歳が3歳下でしたが、小説や映画、絵画など、私と実に趣味趣向が一緒でしてね。昼食時間の30分は、とても楽しいひと時でした。それから、何回か、仕事が終わった頃に待ち合わせをして一緒にお茶を飲みました」

「え~。そうなんですね。……あの~、吉田さんは、そのミツコさんを…」

「はい。好きでした」

「え~そうなんですか!」

「私は、その時は、妻も子供もいましたから、何かしようとは思いませんでしたが、ミツコさんには、トキメキました」

「え~なんか、複雑ですね」

「でも、きっと、これは、私の勝手な片思いですよ。今となっては、40年も前の懐かしい思い出です」

「結婚していても、そおゆう気持ちになるんですね」

「そうですね。でも、あのような気持ちになったのは、あれっきりですよ」

「私は、結婚もしてませんから、なんとも言えませんが」

「こんな話、誰にも話してませんけどね。実は、そのミツコさんと、これから、東京駅で逢うんですよ」

私は、思わず大きな声で「え~!!!」と叫んだ。

吉田が口に指をあてて、いたずらぽい笑顔で、し~とする。

私は、興奮冷めやらずで、その先を急いだ。

「あ、あのどうして、そうなったんですか?そのミツコさんと、どうして再会できるようになったんですか」

「それがですすね」と吉田がミツコさんとの運命の再会を語ってくれた。

東京に住む娘さんが、始めたフラダンスの発表会に招かれて、奥様と同行した時の事。

演目が最後になり娘さんのフラダンスの先生のワンマンショーが始まった時、吉田は、舞台に出てきて、優雅にフラダンスを踊る女性を見て、まさしく全身に雷に打たれたような衝撃だった。今、目の前で踊っているのは、40年前、一緒にお弁当を食べて密かに思いを寄せたミツコさんだった。

40年経っても、あの時の、人を温かく包み込むオーラと最高の笑顔は、全く変わっていない、いや、もっとその輝きを増し、神々しく光り輝いていた。

妻と一緒なのに、心臓の鼓動が激しくなり、息苦しくなったと。

自分は、ミツコさんをすぐに分かったが、講演が終わり、ロビーで娘から、父ですと紹介されてもミツコさんは、自分の事がわからなかったようだ。

それから、しばらくは、ミツコさんに再会できた喜びと、しかし、ミツコさんが自分の事をわからなかったショックで、気持ちが落ち着かない日々を過ごした。

娘には、それとなく、ミツコさんの主宰している名古屋のレッスン場の場所を聞き、思い切って手紙を書いた。

そうして、お互いの連絡先がわかり、今日、40年ぶりの再会の運びとなったそうだ。

聞き終えた私は「え~それで、え~どうなっちゃうんですか……」

「どうもなりませんよ。あちらにも、家庭がありますし。ミツコさんは、別に私の事など何とも思ってないでしょうし」

「え~、わかりませんよ。そっか~、40年ぶりの再会なんですね。実は、私もですね……」と保との事を話し始めた。

保とは、家が近所でずっと仲良しの友達だった。小学校6年間、そして、中学3年間もクラスが一緒だった。私達が、高校に進学する時、保が、群馬に引っ越しをする事になった。

引っ越しする時に、保から、好きだと告白された。私も、保の事は、好きだったけど、お互い山形と群馬で離れてしまい、しばらくは、文通をしていたが、それも、だんだん無くなり、高校を卒業して、お互い社会人になってからは、連絡を取らなくなった。

しばらくして、風の便りで、保がレンガ職人になって、結婚したと聞いた。

私は、その後、なんとなくお付き合いはした人は2、3人いたけど、結婚するところまではいかなかった。

そうして、婚期を逃した30代最後の歳に私は、人生最大の恋に落ちた。

彼は、私が勤める、スーパーの事務所に東京から単身赴任をしてきた店長だった。事務所の中では、一番の古株だった私は、何かと彼と意見がぶつかった。

しかし、ある日、彼が高熱を出して、仕事を数日休んだ。

さすがに、単身赴任で食事なども不自由かと思い、私は、差し入れを持って見舞いに行った。玄関に現れた憔悴しきった私より、3歳年下の彼は、普段職場では見せない顔を見せた。

その時、私は、本当に雷に打たれたように、彼に恋をした。

彼も、仕事でも沢山の問題を抱え、単身赴任している寂しさも相まって、私達は、一線を越えた。それから2年ほどその関係は続き、彼が、東京に戻る事になった。

その後も、私が、毎月東京に来てその関係は、続いた。

東京では、彼の仕事の都合と家庭があるため、私が、平日に一日休みを取って逢うようになった。少しでも、長く一緒に居られるようにと東京駅のステーションホテルが私達の密会の場所となった。

ある時、彼の急な仕事の都合で、半日ほど時間が合いた時、暇つぶしにと東京駅に隣接されていた美術館に入った。

展示品にはあまり興味がなく、美術館の2階の廊下からぼんやりと改札口を行きかう人を眺めていた時に

「あの、すみません」と声をかけらた。

見るとかなりおっさんになった保が立っていた。

私は、思わず「え~、もしかして、保!」と大声で叫んでいた。

平日の昼間で他にお客様はいなかったけど、静かなフロアに私の声は、響いた。

保が「和美、相変わらず、声、でかいな」と少し迷惑そうに言う。

「保、どうしてここにいるの?久しぶりだね」と注意されても、自然と声が大きくなる。

保に促されて、東京駅を一望できるオープンテラスのカフェでお茶をする。

30年ぶりの再会にお互い競って、近況を話した。

保は、レンガ職人になり、今では、窯元として立派に独立して、数年前の東京駅の修復修繕のプロジェクトに参加したそうだ。時々、こうして、メンテナンスを兼ねて、現場を見に来ているそうだ。

「へ~あのレンガの一部が、保が焼いたものなんだ」

そう私が、話を振ると、保は、目を輝かせて語り始めた。

「この仕事で俺は、心底レンガ職人になって良かったって心から思ったよ。

この建物はさ、100年前に建てられんだけどさ、その外壁をコンクリートにしないで、レンガにしたのは、大きな意味があったんだよ。コンクリートだったら長い年月が経つと当然朽ちていく過程で取り壊して新しいものを作ろうとなるけどさ、レンガは違うんだ。朽ちたレンガもその良さというか建物の味わいとなりかえって風格となる。それが、100年経ってもこのような風化しない風格のを醸し出す。本当にレンガは、最高な建材だよ」

そう言われてみて、この東京駅がレンガでなくて、コンクリートの建物だったら、これほどの人を引き付ける魅力を感じさせないだろうし、国の重要文化財に指定される事も無かっただろう。

続けて保は、レンガ愛を熱く語る

「100年前に建てられ時は、レンガは一等品と二等品のみを使い、特に大きな荷重がかかるアーチリングの部分には優良品を選んで使用した。施工は入念に行われ、積み立て前のレンガは一個ずつブラシ洗いを行い、作業員一人の一日の積み立て個数も、通常よりもノルマを低目にして一個一個入念に積立て作業を行わせたそうだ。こうした施工時の入念な作業のおかげで建設から、100年経っても、びくともしない荘厳な駅舎の風格を保ち続けているんだ。俺も、修繕に参加させてもらって、その100年前の職人の仕事の素晴らしさが痛感できたしそれをまた、更に後世に残していけるって、俺の人生で最高の財産となった仕事だったよ」

保の話を聞いて、改めて、このレンガ造りの建物がどんなに凄い歴史の産物であるかがわかった。

保は、この駅舎の修繕がどんなに大変だったかをその後も延々と話した。そうしているうちに、彼から連絡が入り、私は、保と連絡先を交換して、彼の待つホテルの部屋へと急いだ。

それから、彼と逢った次の日に保と逢うように予定を組むようになった。

保は、早くに結婚したものの、子供が授からなかった事もあり5年で離婚して、それからは、ずっとお一人様生活らしい。仕事柄、ほとんど女性と知り合うきかっけがなく、周りの勧めで、過去に2回ほどお見合いをしたそうだけど、うまくいかなかったそうだ。

ここまで、私は吉田に一気に話した。

吉田は「それで、今日は、どちらの彼に逢うんですか」

「レンガの彼です。実は、今日は……」

 私は、保には、東京の彼との不倫の事は、内緒にしていた。

保は、私に彼氏はいないと思っていて、ある日、東京駅の駅舎の関係者しか入れない場所に案内してくれた。

そこで、保が一つのレンガを指して、ここを見てと言う。

私は、見たけど別に他のレンガと何も変わらないと思い、保を見ると

しびれを切らしたように少し苛立った口調で「わかんないかな」と言う。

「え~、何が?」

「ここだよ、よく見てよ」

保に言われた箇所に顔を近づけて見ると小さな何か模様のようなサインのようなものが見える。

ちょっと待ってと、私は、老眼鏡を取り出してみると

《T・ハートマーク・K》と印字?されている。

「T・ハート・Kって見えるけど、一体、何?」

保がふてくされて「お前、本当に鈍いな~Tは保のT、ハートはラブで、Kは和美のKだよ」そう言って保は、年甲斐もなく顔を赤らめた。

そう言われて、数秒の間の後、今度は私が、思いっきり赤面した。顔から汗が出るほど、熱くなり、鼓動が激しくなった。

思わず大声で「え~、いいの?こんないたずらして!え~、だって、ここ東京駅だよ。これから、ずっと100年先も残るんだよ」

「そうだよ。和美は、俺にとって、ずっと愛し続けたい大切な人だからさ」

「……」

私は、か~と頭に血が昇るのが分かった。そして、全身の血が逆流するのが分かった。

「俺は、絶対、和美が結婚して幸せな家庭を築いているって思っていた。ずっと和美の事が忘れられなかったけど、もう、逢えないって思っていた。でも、俺の和美への思いを残したいって思って、ここに刻んだ」

真っ直ぐに保に見つめられて、私は、どうしていいかわからなかった。

「そして、こうして、ここで和美と奇跡的に再会した。これは、ここに刻んだ俺の思いが通じたと思う。……和美、俺と結婚してくれ」

私は、正直に嬉しかった。でも、直ぐに返事ができなかった。それは、どうする事もできないと分かっている彼の事を愛しているから。

返事に困っている私に、今度、逢う時は、結婚を前提に逢って欲しい。もしも、その気が無いのなら、もう、二度と私には逢わないと保が言う。

「それが、今日、なんだね」

「はい。そうなんです」

「そうですか……あなたも、今日は大切な特別な日なんですね」

「私、まだ、正直、迷っているんです」

「……そうですか……」

そう言ったまま、吉田はしばらく黙ってしまった。

私も、流れていく窓の外の景色を見つめた。

場内のアナウンスが流れ、あと15分後に東京に到着すると知らされる。

「……もう、忘れてしまいなさい」

吉田が笑みを浮かべている。

私は吉田の顔を見ると

「その、東京の彼のへの気持ちは、この電車が東京駅に着いてあなたが降りる時に、ここに置いていきなさい」

そう言われて、私の目からどっと涙が溢れた。

吉田は、諭すような表情で、

「ねぇ。そう、なさい」と私の肩に優しく手を置いた。

私は、溢れる涙を拭いながら、しゃくりあげて泣いた。

そして、小さく「はい…」と呟いた。

新幹線が東京駅に到着して、東海道新幹線にミツコさんを迎えに行くと言う吉田と改札口で握手をして、別れた。

吉田との2時間の一期一会の出逢いに、私は心から感謝して、

そして、私は、保との待ち合わせの時間までを夕日に照らさた、東京駅舎の前に立ち、赤と白のシマシマのレンガを眺めた。

                               おわり

 
 
 

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